第4章 夕虹
ニノのときは、真っ裸で風呂から出ていっても、なんとも思わなかったけど。
…………ちょっとまずいか
松本の前でそれはためらわれた。
俺は、暑くて狭い脱衣室で、汗だくでTシャツとハーフパンツを身につけた。
扉をあけると、いつもニノがいた場所に松本が座ってる。
遠慮してるのか、テレビもつけてない。
しんとした部屋で、大きな体を小さくして体育座りをして待ってる姿が、世話焼き女房というより、忠犬ハチ公に見えてくる。
「……お先」
声をかけた俺に気づき、こちらを振り向いた彼は、にこりと笑った。
「あったまった?」
「……うん……松本も入れよ」
「それなんだけど……また服借りてもいい?」
ちょっとばつが悪そうな顔に、思わず笑ってしまった。
完璧に思いつきで泊まりにきたことが分かる。
でも、その素直さが可愛いなぁと思った。
この家に、松本専用の場所を作ってもいいかな、と、ちょっとだけ思った。