第4章 夕虹
後から思うと、全身ぬれねずみの俺は、一人で電車に乗ったら悪目立ちしていただろうな。
松本が、俺をドア付近に立たせ、隠すようにその前に立ちはだかってくれたから、目立たずに家まで帰ってこれたと思う。
これに関しては、感謝だ。
だが、濡れた体に、電車の冷房の風は想像以上に冷えた。
カッコ悪くガタガタ震えてた俺に気づいた松本は、終始心配してくれて。
家に着くやいなや、
「よぉーくあったまるまででてきたらダメ!」
と、俺を浴室に押し込んだ。
なんか……ちょっとキャラかわってないか?
ザーザーとシャワーを頭からかぶりながら、排水口にながれてゆくお湯を見つめる。
今の松本には、俺を怒らせないように気を使いながらも、世話焼き女房のように張り切ってるふしがある。
そしてそれが嫌じゃなくて、心地いい俺がいる。
やっぱり……松本といると落ち着くな。
俺はボディーソープを大量に手に取り、仕事で抱かれた痕跡を丁寧に洗い流していった。