第4章 夕虹
妙に自信のある言葉に、思わず顔をあげると、松本が戸惑う表情で俺を見つめてた。
その瞳が、不安げに揺れる。
「それより……あの、ごめん。追いかけたりして。迷惑だった……?」
「…………」
俺は唇をかんだ。
現状とても困ってるけど……迷惑ではない。
俺は、また足元に視線をおとし、小さく首を振った。
「じゃあ……なんで逃げたの?」
「…………」
理由なんか言えるはずもない。
俺は、知らない男と寝てきたんだ。
なのに、その直後に、自分が本当に好きな相手と何食わぬ顔で会えるわけない。
そこまで神経太くないよ。
「大野さん……?」
「…………」
それでも俺が黙ってると、松本はポケットから携帯を取り出し、なにやら操作をしてる。
しばらくして、
「……今から泊まりにいっていい?」
と、言い出したものだから、俺は目を剥いた。
待て。話の展開がおかしい。
それをやって、兄貴におまえ殴られただろう!
ていうか……今の俺は、おまえには見られたくないんだってば……
俺が、どうやって伝えようかと、口を尖らせてると、松本が困ったように笑んだ。
「……なんかさ。大野さん、一人にしたら、消えちゃいそうなんだもん」
「……………」
「このまま夜に溶けちゃいそう」