第18章 人の生
「少しでも楽しい方を、辛くない方を、安心する方を。楽な方を選んだなんて思わなくていい。そうじゃなきゃ、AKUMAとの戦争はやっていけない」
フォーはいつも厳しい。
けど、その厳しさにはちゃんと優しさがある。
「…自分のために生きる事が、人を大切にする事になるのかな……」
「アタシは知らねーよ。よく考えるんだな。
―――で、いつまでそこにいる気だ?ラビ」
「え?!ラビ??」
「はは、バレてら」
声がする方を振り向くと、開け放してある扉の後ろからひょっこりとラビが出てきたではないか!
「え、い、いつから居たの?」
聞かれて困る話はしていない。けれどラビと気まずくなった話題…私の話だったので、その、心配だ。
「支部長が好きか?ってゆー話の辺りから(笑)」
「け、結構前から居たね?!」
全部聞かれてた!!
どうしよう、何か言った方がいいかな。でも何を言えばいいのか…
内心慌てているすみれの横を、何事もなくラビはスッと素通りした。
「ジジ、コレ届けに来た」
「ん?ラビのイノセンス?」
「そ!オレのイノセンス見せて欲しいって、バクちゃんに頼まれたんさ」
「なるほどな、こっちで預かっとくぜ」
(ジジに頼むの…?)
科学班宛のことなら、何でも先ずは私に言伝していなのに。してくれていたのに。胸の奥で何かズグと潰れるような苦しさを感じた。
「ラ…」
「フォー、鍛錬の続きするさ」
「お?いつになくやる気じゃねーか」
私の「ラビ」と呼びかけに応えず、見向きもせず。フォーと一緒に科学班のフロアから出て行った。
「すみれの傍に居てやんなくていーのか?」
「ああ。今のオレに出来ることなんてねーからな」
「へぇー、わかってんじゃん。その代わりにみっちり鍛えてやるよ」
「お手柔らかに頼むさ」
一方、科学班。
「すみれ、まだラビと痴話喧嘩してんのか?」
「し、してないよっ」
痴話喧嘩だったら、良かったのに。
「うし!引き継ぎの続きすっかな!」
「…うん」
「お、ちょーど良い所に!おーい、ちょっと手伝ってくれー!」
ジジは誰か見つけ、廊下へ駆け出していった。