第18章 人の生
「お前を大切に思う奴が居るのに、お前がお前自身を傷つけることは―――
お前を大切にしてる奴らも、蔑ろにしてることになる。あたしやジジ、バクのこともな。」
「そ…っ!」
そんな事ない!!と、否定出来なかった。
フォーの言葉通りだと思ったから。
確かに、私は私自身を蔑ろにしてる。けれど周りの皆をそんな風に思ったことは一度もない。それだけは、決してない。
「すみれ、そんな思い詰めた顔すんなって!フォーはすみれのこと心配してんだよ」
フォーだけじゃない、みんな心配してんだ!と、ジジの明るい気さくな声にホッとしてしまった。いや、安諸してる場合じゃない。
「心配だなんて、大袈裟だよっ!私は大丈夫!」
心配されたくなくて、必至に笑顔を貼り付ける。
私を見てジジは目を細めて笑うも、寂しそうな笑顔で、それが悲しいと思った。
「はは、そうであって欲しいぜ」
どうしたら、大丈夫だと思ってもらえるんだろう?
「黒の教団や、みんなのこと!本当に大切に思ってる!感謝してるもの!」
どうしたらみんなの為に働いていると、蔑ろにしていないと思ってもらえるのだろう?
「すみれが仲間を大切にしてるこたぁ、皆知ってっよ。そーじゃなくて、ちゃんと自分のために生きろよ?」
「え?」
ジジの言葉にドキリとした。
「人のために何かを犠牲にしたり、我慢したりすんなよ?
誰かに尽くすような、そうゆう生き方ってのはな。一見、思いやりのある正しい生き方って思うかもしれねーが。やっちゃ駄目だ。」
それって、今の私のことを言ってる?
喉のすぐそこまで出かけた言葉は、何か、まるで魚の骨がつっかかったみたいで。
自分を否定されたような気持ちになり、どんどん心が重く沈んでいくのがわかった。
「そうやって誰かのために生きて、誰かの為に選択してっと。小さな失敗や些細な嫌な出来事で耐えれなくなって、折れちまうんだ。」
「そんなの当然だ」
フォーが腕を組み、椅子の上で胡座をかいた。
「自分のために選んだ道じゃないんだ。尽くした相手すら恨む事になりかねない。
みんな事情があって選択肢は限られる。だからこそ自分の気持ちを最優先に選ぶんだ。」