第53章 紡ぐ未来
数年後──…
文「父さま!!母さま!!早く!!」
実「文弥!!1人で行くなって言ってるだろォ!!」
『文弥、そんなに急がなくても桜は逃げないわよ。』
文「だって玄弥兄さまはもういるかもしれないもん!!」
実「玄弥も逃げねぇよ。」
1人駆けていく文弥を捕まえた実弥が呆れたようにため息をこぼしながら後ろから歩いてくる杏を待つ。
『玄弥くんはよく遊んでくれるものね。』
実「ったく、お前のにいちゃんは親父より玄弥の方が好きみたいだなァ。」
実弥はそう言って杏が抱いているもう1人の我が子の頭を撫でる。
『あら、どうするの??紫苑がお喋りするようになったら玄弥兄さまと結婚するって言い出すかもよ。』
実「許すつもりはないなァ。」
『ふふっ、今からそんなじゃ紫苑も大変ね。』
まだ生まれて半年しか経ってないのにねぇ、と紫苑に笑いかける。
文「ねぇ!!母さま!!ユキとラン貸して!!」
『父さまと持つのよ。』
文「うん!!」
杏はその元気な返事に頷くと実弥と文弥にユキとランの引き綱を手渡す。
『実弥さん、先に行ってていいわよ。私たちはゆっくり行くから。』
実「わかった。気をつけてなァ。」
『えぇ。』
元気に駆けていく我が子と飼い犬、旦那を見送った杏は抱いている紫苑に話しかけながら歩く。