第53章 紡ぐ未来
散歩前に杏に撫でてもらい、ご機嫌な2匹──母犬のユキとその子どものラン。
あの日連れて帰ったユキとユキが生んだ子どもたち。
3匹生まれ、うち2匹は猫以外も好きだという悲鳴嶼が引き取ってくれていた。
実「棚に戻すのは俺がやるからなァ!!」
『はいはい。いってらっしゃい。』
ユキとランに引っ張られながら散歩へと向かう実弥に杏は呆れたように笑いながら手を振った。
『まったく……あなたのお父さまは心配性ね。』
我が子に話しかけながら洗濯物を畳んだ杏は言いつけ通り実弥たちが戻るまで縁側で桜を眺めていた。
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──オギャーオギャー
産「おめでとうございます。
元気な男の子ですよ。」
『男の子…。』
産婆の腕に抱かれた我が子を見て涙が溢れる。
顔や体は既に産婆により拭かれて綺麗になっていた。
産「ご主人、入ってきてよろしいですよ。」
──ガラッ
実「杏!!」
産婆の言葉が聞こえた瞬間、慌てて部屋に入ってくる実弥。
『実弥さん、男の子…文弥ですよ。』
産婆から受け取った赤子を抱き、実弥に少し弱々しくではあるが微笑む杏。
実「文弥…。」
ギュッ、と文弥を抱く杏を抱きしめる実弥。
実「ありがとう、杏。よく、無事に産まれてきたなァ、文弥。」
『はい。』
抱きしめられたまま、ふふっ、と泣きながら笑う。