第53章 紡ぐ未来
実「その中で響きがいいのは菫か桔梗だなァ。」
『ですね。その2つの花をそばに置いておいて、生まれてきたときにどちらの花が似合うかで決めましょうか。』
実「そうするかァ。」
はい、と微笑む杏。
『男の子だったらどうしましょうか。何かあります??』
女の子だった場合の名前は自分の意見を優先してもらったので次は実弥に問いかける杏。
実「そうだなァ、……賢そうな名前がいい。」
『賢そうな…そうですね。』
実弥は幼い頃の環境のせいで文字を書くことができず、簡単な計算も苦手だ。
今の自分たちには充分なお金がある。
自分の息子には同じような苦労はさせたくないという思いがあるのだろう。
『そうですねぇ。でしたら……文弥、なんてどうでしょうか。』
実「ふみや……。漢字はァ??」
『“文”に“弥”です。
弥は実弥さんの弥と同じですよ。』
庭に木の枝で書いて見せながら説明する。
『“文”には言葉や文章、手紙、学問といった意味があります。そして、“弥”は実弥さんや玄弥くんと同じ漢字で不死川家の男の子って感じがしてよくないですか??』
説明しながらふふっ、と笑う杏。