第53章 紡ぐ未来
さらに約1年後──…
『男の子と女の子…どちらでしょうか。』
自身の大きくなったお腹を撫でながら小さく呟く杏。
実「さぁなァ。つか、あんまり動くんじゃねェ。体に障るだろうがァ。」
庭先で洗濯物を抱えている杏を見つけた実弥は慌てたように駆け寄ってくる。
『大丈夫ですよ、少しくらい。』
杏はそんな実弥を見てふふっ、と微笑む。
実「いいからよこせ。そこ座ってろォ。」
杏の腕から洗濯物を奪い取り、縁側へと促す。
『ありがとうございます。』
微笑んでお礼を言い、よいしょ、と縁側に腰掛ける。
『名前はどうしましょうか。』
実「そんなもん生まれてからでいいだろうよ。」
『あら、ダメですよ。しっかり考えてあげなくては。ねぇ、』
自身のお腹の中にいる今はまだ見ぬ我が子に声をかける。
『私、女の子だったら花の名前をつけたいです。生まれた季節の花の名前を。』
実「お前の名前もそうだしなァ。いいんじゃねぇかァ。」
『ありがとうございます。この子が産まれるなら…夏ですね。』
実「俺は花になんて詳しくねぇから分かんねぇが…。」
『夏の花…そうですね、茉莉花や瑠璃唐綿、菫、あとは桔梗とかでしょうか。』
んー、と記憶を辿りながらいくつかの花を上げる杏。