第53章 紡ぐ未来
耀「杏が大事にされてるみたいで安心したよ。……何かあったらいつでも帰っておいで。」
大丈夫だとは思ってるけどね、と笑ってくださる耀哉様。
杏もありがとうございます、と悪戯っ子のような笑顔を返す。
暫く話していると、更なる来客があった。
愈「来てやったぞ。」
輝「お待ちしてました。珠世さん、愈史郎さん。」
珠「お招きありがとうございます。」
鬼であると同時に1年前の最終決戦で鬼殺隊に献身してくれた珠世と愈史郎だ。
珠「お昼間は参加できず申し訳ございません。」
輝「仕方ありませんよ。夜桜も綺麗ですから楽しんでいってくださいね。」
鬼の身である2人は昼間出歩くことはできず、この時間からの参加となったのだ。
あの夜明け──…
無惨が討伐されたその瞬間、愈史郎は焦っていた。
愈(珠世様……。)
珠世により鬼にされた自分と茶々丸は無惨が討伐されても消滅しないという確証があった。
だが、珠世は違う。
いくら支配から抜けていたとはいえ、無惨から直接鬼にされている。
折角無惨に吸収されずにここまで場所は違えど、共に戦ってこれたというのに、これで最後になるかもしれないと思うと愈史郎は居ても立っても居られなくなり、日陰の中を必死に駆けた。