第52章 未来の約束
『だから、あのとき……あなたの手を掴んだときは本当に安心しましたよ。心配ばかりかけてごめんなさい。』
不「俺もだァ。あのとき、引き摺り出したお前が目を開けた瞬間、どれだけ安堵したか……。」
不死川は手拭いで簪を包むと杏に手渡す。
不「あんな状況になるまで、わかってなかったんだ。お前を失うことがこんなに恐ろしいなんて……思ってもみなかった。これまで何人も見送ってんのになァ。」
杏は受け取った手拭い越しに簪をぎゅっと握る。
その姿を見た不死川は再び袖に手を入れる。
そして、取り出したものを見て杏は目を見開いた。
不「まったく同じものはなかったが、探してきた。桜の花のが多くて、杏の花のはなかなか見つからなかったんだが……。」
不死川の手には杏の花の飾りがついた簪があった。
以前杏が使っていた今杏の手にあるものとは確かに意匠が違うが、今時の華やかなもの。
杏が目を見開いていると、不死川はその簪を杏の方へと差し出した。
不「あのときの返事をしていいかァ??」
『……え??』
杏(あのときって……っ、もしかして…!?)
理解した杏の頬がみるみるうちに赤く染まる。