第52章 未来の約束
『でもすごいですね。綺麗……。』
穏やかな風の中で起こっている花吹雪は壮観な眺めだった。
杏は桜の木に近づいて舞い降りてくる花びらを捕まえようとするが、上手く捉えられない。
『……難しいですね。動体視力以前にそもそもの視力が落ちてるからか…。』
そう呟きながら諦めて真下から花吹雪を眺める。
不「音白。」
不死川から名前を呼ばれ、振り返るとそこにはいつになく真剣な顔をした不死川がいた。
『不死川さん??』
不「渡したいものがある。」
そう言って、不死川が袖から手拭いを取り出した。
そして、その手拭いに包まれたもの見て杏は思わず声が漏れる。
『不死川さん、それ……。』
そこにはあの闘いで失くしたと思っていた杏の花の飾りがついた簪があった。
杏の最後の記憶の通り、真っ二つに折れている。
杏が驚いたまま固まっていると、不死川はゆっくりと話し始める。
不「あのとき……お前が胡蝶の妹を庇うのが見えて、咄嗟に前に出た。」
不死川が杏を庇ったあのときだ。
情けなくも吹き飛ばされて気を失っちまったけどなァ、と苦笑いを浮かべる。