第51章 鬼のいない世界
不死川は自身が包んだおはぎを1つ手に取り、ゆっくりと口へ運ぶ。
それを見ながら杏も同じく自身が包んだおはぎを口に運ぶ。
杏(……いつもと同じ分量で炊いたけど、甘さが足りないわね。でも、これ以上砂糖を足したら多すぎる。……それはわかってる。)
小さくため息を溢した杏だったが、そういえばと不死川の反応を見るために顔を上げる。
不「…米が固いな。」
そこには苦虫を噛み潰したような苦悶の表情を浮かべる不死川がいた。
大好きなおはぎを手にしているはずなのに、そんな顔を浮かべる不死川を見て思わず笑いを溢れる。
『……ふふっ。残念でしたね。たしかにまだ少し芯が残っています。もう少し浸水した方が良かったかもしれないですね。』
くすくすと笑う杏を見下ろしていた不死川は小さな笑みを浮かべた。
不「じゃ、また明日同じ時間に来るわァ。」
『え??』
不「ん??」
不死川の言葉に思わず聞き返すような声をあげた杏だったが、不死川の何かおかしいか?とでも言いたげな笑みに押し黙る。
『……いえ。』
不「じゃあ、また明日なァ。」
そう言って不死川は作ったおはぎの半分を持って帰って行った。