第51章 鬼のいない世界
『……しかし、材料が』
杏が小さく呟くと、歩み寄った不死川は手に持っていた袋の中を見せる。
不「おら。手ぶらで来てるわけねぇだろォ。」
『……ちゃんと揃ってますね。』
不「何回お前の買い物に付き合わされたかわかんねぇからなァ。邪魔するぞォ。」
『あ、ちょっと待ってくださいよ……!!』
ズカズカと屋敷に上がって、慣れた足取りで台所の方へと足を進める不死川を杏は慌てて追いかける。
『待ってくださいってば……!!不死川さん!!』
息を切らしながらもなんとか不死川の着物の袖を掴むことに成功した杏を見下ろしながらわりィわりィと言う不死川に悪びれる様子はない。
そんな不死川を恨めしそうに見上げながら杏はため息を吐く。
『わかりました。けど、こんな格好ですので着替えてきてもいいですか??』
不「あァ。ゆっくりでいいぞォ。」
『ありがとうございます。』
そう言って衣装部屋へと消えた杏を見送り、台所へと入った不死川は袋の中の材料を出していく。
暫くしたら杏が戻ってきた。
『すみません、お待たせしました。』