第3章 新しい生活
「……おきろ、…唄羽、おい」
朝、誰かが唄羽の身体を揺すっている。
何度か声をかけているが唄羽は全く起きる気配がない。
「……」
起こしているのはもちろん義勇である。
何かを考えたあとほっぺをつまむ。
ムニッとつままれた感覚があったのか、唄羽はゆっくり目を覚ます。
「…ん、?……………………っ!!!?!?!」
そして義勇の顔の近さに声にならない悲鳴をあげた。
「おはよう唄羽」
「…おおお、おはよう義勇…って、なん、え、なんで!?!」
そうじゃないそうじゃない!!とあたふたして頭を落ち着かせようとしている唄羽とは裏腹になんでそんなに騒ぐんだ?とキョトンとした様子の義勇。
「…近い、近いわよ義勇…!!!びっくりしたじゃないの…」
「ああ、…すまん」
ここに第三者がいたら、違うそうじゃない、と誰もが思っていたことだろう。
しかしここには残念なことに2人しかおらず、距離感のおかしいままである。
布団から出ようとした唄羽は急激に顔を青くする。
「義勇……今、何時…」
「11時だ」
「…ああ、大変…約束から3時間も寝てたの…?わたし」
「疲れてたんだろう」
「(…優しいから起こさないでくれていたのね、、)」
「ごめんね義勇、ありがとう。すぐ支度する」
「慌てなくていい。柱への屋敷はまた今度でも時間がある」
「…いやよ。せっかく皆さん時間を開けてくださってるんでしょう?急がなきゃ」
唄羽は急いで布団をたたみ着替えを出す。
今日は家に荷物を取りに行ってから柱の屋敷を回る予定だったのだ。
「……わかった」
そう言うと思っていたと笑い義勇は部屋から出ていく。
その途端唄羽は顔を真っ赤にしてその場に座り込む。
「(…………はぁああああ、義勇ったら本当にもう、あんなに近くにいたらドキドキしちゃうじゃない…………もう寝坊はできないわね…)」
はあ、と深く溜息をつき、これでもかと急いで支度を済ませ義勇の待つ玄関へと急ぐ。