第3章 新しい生活
部屋から出てきた唄羽は本当に最低限のみの物を持っていた。
義勇はそれを受け取る。
「ありがとう、次は蔵ね、蔵は着いてきもらってもいい?」
ああ、と返事をして2人は蔵へ向かう。
「……んー、どこかしら」
ある程度の薬品や荷物を探したあと、何かをひたすら探し続けている唄羽。
「どうした」
見かねた義勇が声をかけると手をぐっと伸ばしたまま振り返らず「無いのよ」とだけ返事をした。
「…?」
「……父様の形見」
おかしいわ、と慌て出す唄羽。
「どんなものだ?」
「……ペンダント、3人で写った写真が入ってたの、……どうしてないのかしら…父様ここに入れておくって前話していたのに……」
義勇はなんとも言えない違和感を感じていた。
鬼の仕業かとと思ったが大体の鬼がそんなに利口な訳では無い。
父親も毒殺ではないかと話していたし、人間の仕業というのが1番しっくりくるが、どこかおかしい。
直感ではあったが確信のようにも感じていた。
「(鬼に効く薬…もし、知能の高い人間のような鬼が、そう、無惨のような鬼がいれば人間の仕業のようにも出来たのではないか?)」
「……唄羽、お前の母親は鬼の薬に携わっていたのか?」
突然の質問に唄羽は不思議そうな顔をしていたが、直接は関わっていないと話した。
「……直接はね。研究をしてたのは父や祖父だから。でも母様は稀血だったから血は渡していたそうよ。……それがどうしたの?」
「両親が亡くなったのは時間帯は?」
「えっ、……っと、母様は、朝起きたら、、その屋根から落ちたみたいで、…。父様は、起きたら前の家で…倒れてたわ……」
「前の家?」
「ええ、……たまに行くの。診察があればそこで寝泊まりした方が楽な時もあるからって……」
あまり思い出したくないのか、唄羽は俯いて目を伏せる。
「……そうか、。唄羽、早く戻ろう。ここは危険かもしれない」
義勇は突然唄羽の手を引き蔵を出る。
「鍵だけしっかり閉めておけ。そして此処へは決して一人で来るな」
「…えぇ、分かったわ、けど、なんでそんなこと……」
「……戻ったら話す」
義勇はそれだけ言うと、帰り道は一言も話さずにいた。