第2章 鋭く優しい【ヴィル】
「ヴ、ヴィル、、?」
嫌な予感がして後ずさりするがもう遅い。
あっという間に手を引かれオンボロ寮にとは別の方向へと連れていかれていた。
まぁ、言うまでもなくヴィルの部屋だろうが。
「ヴィル〜??ねーヴィルー?」
「……」
何度名前を呼んでも全部無視。
聞こえてるだろうけど全く何も反応がない。
そんなこんなしてるうちにあっという間に部屋に投げ入れられる。
「ぅおっ、!?ちょ、急に投げないでよー!」
「あんた、何があったのよ」
そんな顔して、と頬に手を当て顔をのぞき込まれる。
「……っ」
元の世界の景色が、鏡に映ったのだ。
思わず手を伸ばしたけれど何も起きなかった。
それと、、、躊躇があった。
このまま、帰ってもいいのかと。
私は、元の世界に帰りたいのかと。
しばらく黙っていると大きなため息が聞こえた。
「あのね、ユウ。あんた今すごい泣きそうな顔してるのよ。分かってる?辛いなら吐き出さないと」
「…、わたし、帰りたいのかわかんなくなって、、」
ヴィルは思ってもみない言葉だったのか大きく目を見開くが、すぐ元の表情に戻った。
「…なにか帰る手がかりがあったの?」
あくまでも、話を聞いてくれようとしている。
「か、鏡に、前の世界が映ったの…」
「……そう…」
私は話すのが精一杯で、ヴィルの方なんて向けなかったけれど、頬と自分の手を強く握ってくれるヴィルにひどく安心していた。
この人は、きっと聞いてくれるから話しても大丈夫だと。
「本当なら、帰らなきゃ行けないのに、、私どうしていいのか分からなくなって、、っ、咄嗟に手を伸ばしたのに、、急に後悔というか、迷ってしまって…っ、帰りたいのに帰りたくないの、」
「そう、分からないのねどうしていいのか」
「うん……っ、手が鏡に吸い込まれる感覚がして怖くなって、、何も起きなかったんだけどね、結局…、」
気づいたら涙が零れていて、気づいたらヴィルの肩にそっと頭を寄せられていた。