• テキストサイズ

永遠の恋〜信長の寵妃【イケメン戦国】

第118章 青い花の秘密


「そういえば、さっき秀吉さんが謁見があるって言ってましたけど…」

膝の上の信長は、朱里の腹の辺りに頬を擦り寄せている。甘えた子供のような仕草が何とも擽ったくてそわそわしてしまい、話を逸らすように尋ねると、信長は朱里の腹元へ頬を寄せたまま、くつりと喉を鳴らした。

「博多から商人が来ている」

「博多…九州からわざわざですか?」

「ああ。鉄砲や薬など幅広く扱っているらしい」

信長はゆるりと身を起こすと、朱里の腰を抱いたまま薄く笑った。

「宗伯という名の男だ。博多では名の知れた豪商で、茶人でもあるそうだ」

「豪商で茶人ですか…博多も堺のような商いの町なのですね」

信長の普段の取引相手は京や堺の商人が多く、九州からわざわざ訪ねて来るとは珍しい。

「堺の商人どもとは少し毛色が違うかも知れんな」

にやりと不敵な笑みを浮かべる信長を見て、朱里は不思議そうに目を瞬かせる。

「どういう意味ですか?」

「奴らは直接海を渡る」

信長は自らも海の向こうに思いを馳せるかのように、遠くを見る。

「宗伯は明や南蛮との交易に深く関わっている男だ。鉄砲、硝石、薬種……戦に必要なものは何でも揃えられると言う」

「そんなにすごい人なんですね!」

「堺の商人ども同様、一筋縄ではいかぬ狸だろうがな」

さらりと言い切る声音に、思わず朱里は小さく笑いを溢す。

「信長様、楽しんでおられますね」

「そう見えるか」

信長は面白そうに片眉を上げてみせる。先程まで僅かに疲れの色を滲ませていた瞳が、新しい取引への興味からか、今や爛々と輝いて見えた。

「商人どもはなかなか腹の内を見せぬ。だが……」

信長は朱里の髪の先を一筋掬い取り、指先を絡める。

「利になる相手かどうかを見極めるのは嫌いではない」

その眼差しは獲物を前にした獣のように鋭いが、朱里へ触れる手だけは甘かった。


「御館様、そろそろお時間ですが…」

遠慮がちに呼びかける秀吉は、朱里の腰にしっかりと回されたままの信長の腕に、嫌な予感を感じていた。

「朱里、貴様も同席しろ」

「えっ…いいんですか?」

商人達との駆け引きの場に、正室とはいえ女の身で同席してもいいのかと戸惑う。

「構わん。異国の面白い物が見られるかも知れんぞ」

信長は愉しそうに笑うと、朱里の腰を抱いたまま立ち上がった。


/ 2043ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp