第65章 *勃発エマージェンシー*
コロシアム・特設ステージ
絨毯に乗って何とか特設ステージまで戻ると、そこは先程まで晴れていた天気が、激しい雨風が吹く悪天候へと化していた
ザァァァァ....
ルーク『先程まで晴天だったのに。激しく荒れ狂う空..まるで、』
『ヴィルさんの...心みたい』
ルーク『兎の君。大丈夫かい?毒霧を抜けたとはいえ、君は1番多量に吸い込んでいる。まだ無理をしてはいけないよ』
『ん...』
カリム『ジャミル、スタッフや生徒のみんなを避難させねぇと!...って、あれ?あれだけ沢山いたスタッフが、誰もいない!?』
辺りを見回しても、コロシアムを埋め尽くさんとばかりに集まっていたスタッフや報道陣たちが一瞬にして消えたかのように、誰1人としてこの場から姿を消していた
それに驚くカリムに対し、ジャミルは呆れ混じりのため息をつく
ジャミル『お前の突拍子もない行動のフォローをし続けて何年になると思ってるんだ。とっくに全員、外に避難させた!』
グリム『ええっ!?どうやって!?』
~回想~
特設ステージ・客席
ルークに去るようにと言われて慌てて控え室からステージへと走ってきたネージュは、キョロキョロと辺りを見回しながら客席を歩いていた
ネージュ『僕を探してたスタッフさんって誰だろう?』
ジャミル『失礼、貴方..ネージュ・リュバンシェさんですよね?』
そんなネージュの元にゆっくりと近づいてきたジャミルは、こっそりと周りから目立たないような小声でネージュに話しかけた
ネージュ『はい、そうですが』
ジャミル『僕、貴方の大ファンなんですよ!本物に会えるなんて、なんてラッキーだ。あのう、サインをもらえませんか?』
まるで本当の熱烈なファンのように振る舞うジャミルの演技に、ネージュは目の前の毒蛇に疑うことなく笑顔で頷いた
ネージュ『勿論です。どこにすればいいですか?』
ジャミル『それじゃあ、僕の....
瞳に!』
ネージュ『あ...』
指で指し示られたジャミルの目を見た瞬間、彼のユニーク魔法"蛇の誘い"が発動し、なんの疑いも見せなかったネージュはあっさりとその洗脳にかかった
ネージュの瞳に鈍く赤い光が点ったのを確認すると、ネージュへ一本のマイクを持たせる