第116章 *7.5章〜休息の冒険者〜*
?『イシ、イシハ、イシハドコダァッ!?』
『[これをお探しかい、蒼い怪物くん?]』
?『!!オレノ、オレノイシッ!!』
頭上からの声に見上げると、真上にそびえ立つ城門の上に夜空のような髪を靡かせ光を失いながらもその色は燃える血のような深紅の瞳が影を見下ろしていた
奪ったブロットの塊を闇の手から回収すると、その大きさと濃度に心が躍りつつも、真下で唸っている影の姿に複雑そうに顔をしかめる
『[今回は特に質の良いブロットができたねぇ。まあ、あの妖精王からなら当たり前だろうけどさ]』
?『イシ、カエセ、イシ、イシィィィッ!!!』
『[..君。これ以上は本当にやめたほうがいいよ]』
?『オレノ、オレノイシダァ!!カエセェェェ!!!』
『[!!]』
雄叫びをあげながら6メートルはある城門を狂ったように駆け上がるとその爪を振り上げる。しかし、その攻撃は下から生え伸びた闇色の食虫植物に食いつかれたことで1つとして当たることはなかった
手足を捕らえられ顔だけ出ている状態になったにも関わらず、影は牙を向きただ目の前のブロットの塊を求めて暴れ出す
そんな様子にノアの表情は険しさを増していく
『[ねぇ、やめなよ。これ以上は本当に取り返しのつかないよ。二度と戻れなくなるだけじゃない、君自身が..]』
?『イシィィィッ!!ヨコセェェェ!!!』
『[こっちの話聞きなよ!っ、ああもう、再三忠告はしたからね。後悔したって知らないから]』
舌打ちを1つして拘束したまま影ごと食虫植物を地に伏せさせる。少しの躊躇いの後、ブロットの塊を魔力で真っ二つにすると、その片方はフワフワ浮かび影の元へと飛んでいく
半分にしたとはいえ今までにない程の大きさに影はすぐに大口を開けるとバリバリと音を立てて食らいだした
それを横目に、ノアは残った半分をモヤ状態にすると、口につけてゆっくり飲み込んでいく
飲み込むほどに広がる負の魔力と淀みに体は打ち震え、力を得ていくことを示すかのように瞳の彩度が増していく。闇のオーラがノアと影を取り巻くと、抑えきれない興奮に影の口からは恐ろしい笑い声が漏れ出た