第105章 *足跡ビーチ(エースの夢)*
一瞬気の抜けた瞬間、むき出しの木の根元に足が引っかかりバランスを崩した。なんとか立て直そうとするも体は重力に従い地面へと倒れていく
反射で目を強く閉じるも来るはずの痛みが訪れず、代わりに力強い何かに受け止められ、大好きな匂いがふわりと香る
『んっ..ぅぅ..あれ、エース?』
エース『あっぶねぇ。ったく、気をつけろよ。怪我は?..してないみたいだけど』
『ん、大丈夫。ありがと.....んふふ』
エース『何笑ってんの?』
『ごめん。エース、さっきからずっと怒ってるのに、ちゃんと私の心配してくれたのが嬉しくて』
エース『なんだよそれ...ここまで来れば邪魔入んないでしょ。こっち来て』
何かを見つけ再び歩きだすと、道の外れた先には2メートルはある岩があり、その裏にレイラを連れ込みようやく手を離した
『ここでなにす『レイラさ..』ん?』
言葉を遮られるように名を呼ばれ首を傾げると、相変わらずムスッとしたまま続けた
エース『あいつと..セベクと随分仲良くなったみたいじゃん。メインストリートで会った時は、あいつのうるさい声にビビって泣いてたのに』
『ん?ん..セベクとはみんなを起こす旅を始めてから、たくさん一緒に過ごして、たくさんお話ししたからかな。お互いのことがわかって今は仲良し、だよ』
エース『(.......イラッ)』
『あとね、シルバーさんとも仲良くなったんだよ。すごく強くて、優しくて、カッコよくて、あったかい。いつも助けて貰ってばかりなんだけど..』
エース『あいつだけじゃなくて、シルバー先輩のことも名前で呼んでんの?
なにそれ..もしかして、2人のこと"好き"になった?』
『ん、2人のことは大好きだよ』
エース『ーーーっ!!』
頬を薄く染め愛しい人を思う笑顔に胸が締め付けられる。最初こそは自分たちだけに見せてくれていたはずのその顔が、いつしか寮の先輩や他の人物たちにも向けられ、そのたびに数えきれないほどの嫉妬を重ねた
夢の中に堕とされ暫く本物と会えていなかった反動で、その嫉妬は唸りを上げて体の奥底から一気に湧き上がる