第105章 *足跡ビーチ(エースの夢)*
『....ぐすっ、ぐすっ..ん』
その言葉が効いたのか、段々と黒く淀んだ思考が引いていき、嗚咽が静まりを見せ始める。今度こそ大丈夫だろうとケイトは改めて安堵し軽く耳に口づけると、そっと胸に埋まったままの顔を上げさせ覗き込む
ケイト『目元真っ赤になっちゃったね。ちょっと冷やしてあげる。ジッとしてて』
『んぅ..』
ペンを取り出し軽く振ると、泣き腫らした真っ赤な目元にヒヤリとした冷気が撫でつける。冷たすぎない絶妙な温度に心地よさを覚えるレイラだったが、落ち着いたと同時に湧き上がる申し訳ない気持ちにまたその顔を暗くさせていく
『ぁ、あの..ケイ、さん』
ケイト『ん〜、なぁに?』
『あの、あの..め、迷惑かけて、ごめんなさい』
その瞬間ピタリと冷気が止まり驚いて見上げると、笑みを浮かべていた口元は引き下がり、どこか怒っているような表情にまた体が強ばる
ケイト『...オレ、レイラちゃんのそういうところ、嫌いだな』
『ぇ』
嫌い。その言葉にまた鼓動が早鐘を打つ。呼吸が乱れそうになると、いち早く気づいたケイトは弁解するようにポンポンと撫でる
ケイト『これまでに色んな人に散々言われたでしょ?こういう時は、"ごめんなさい"じゃなくて"ありがとう"でいーの』
『ぁ、ぇ、と..あ、ありがと』
ケイト『はい。よく言えました』
再び向けられた笑みに体の力が抜けていき完全に体を預けると、しっかりと腕に支えられ優しいキスが耳に再度触れた
レオナ『少しは泣き止んだか?』
ケイト『うん、だいぶ落ち着いてくれたよ。でもまだ怯えてるから、あんまりおっきな音はなしでよろよろ』
レオナ『そうかよ』
ケイト『...さっきの聞こえてた?』
レオナ『さあな』
ケイト『(絶対聞こえてるやつじゃん)』
シルバー『ところでケイト先輩。レイラの様子はどうだろうか?』
ケイト『うん、ダイジョーブ。もう落ち着いたみたいだから。ね?』
『....ん』