第87章 *懐刀インパクト*
リリア『さっきも言ったが、お前のアイツに対する畏れや疑念は間違ってねぇ。だが、武器を振るう相手は間違えるな。お前のそれは無垢なガキじゃなくて、あのいけすかねぇ鉄の者たちを追い出すためのもの。
そして..茨の国を守るためのものだ。そこを履き違えるな』
バウル『..はっ』
リリア『よし、なら戻るぞ。テメーらが睡眠妨害してくれたおかげで、こっちは眠くて仕方ねぇんだよ』
ふあ、と欠伸を1つすると魔石器をしまい、バウルの背を軽く押して来た道を戻り始めた
少しの躊躇いの後、続けてバウルもその背中を追って歩き出す
リリア『確かにテメーから見た俺は、あいつに絆されてるように見えるだろうな』
ポツリと呟いた声はすっかり降りた夜の帳の向こうへと溶けて消えていった
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ガタンッ!!!
シルバー『っ、やっと着いた。セベク、すぐに止血だ!』
セベク『もうやっている!!』
バタバタと走り戻ってきた二人が勢いよくドアを開けると、その音に驚いた近衛兵たちが一斉に視線を向ける
そしてその音に驚いたのは、奥で眠っていたユウとグリムも同じだった
ユウ『..んえ!?な、なになに!?いきなりどうした..ってレイラ!?』
グリム『ふなっ!?なんでセベクに抱っこされてんだ?それに..すんすん..』
魔獣特有の鼻の良さがふわりと微かに漂う血の匂いを感じ取ると一気に顔を青ざめた
グリム『血の匂い..そいつ、怪我でもしてんのか!?』
ユウ『け、怪我!?なにそれ、ちょ、どういうこと!?』
セベク『ええい、うるさいぞ!喚いている暇があるならこっちに来て止血を手伝え!!』
『ぅ"ぅぅ、ぁぁぁっ..!』
セベク『っ、すまん..』
耳元での大声と腕の痛みで顔を歪め、自分にすがりつくその体を抱きしめ、先程からハンカチで腕を押さえる力を少し強める
『〜〜っ!!い"たい..っ..いたい..っ!』
セベク『我慢しろ、傷はそこまで深くないが出血が酷い。このまま出血多量で死にたくなかったら耐えろ!』
ユウ『(なんで..なんでレイラがあんな怪我してるの?誰かに襲われた?それともどこかに落ちてその時に?だめだ..頭回んない)』