第87章 *懐刀インパクト*
バウル『っ...』
セベクは不安な表情をしながらも決して退くことはなく、バウルの腕を押しのけレイラを守るように腕を広げた
真っ直ぐな視線と揺らすような気迫に圧され、バウルは無意識に半歩退いた。それでも疑いの心がそう簡単に変わることはなく、負けじと上から睨みつけ、どけ、と鋭い瞳で威圧する
セベク『退きません!どうか、武器をお収めください。お願いします!!』
バウル『(こいつの目..いや駄目だ、惑わされるな。こうなれば二人まとめて..)』
揺らぎそうになりながらも、それを振り払うように魔石器を握る手を強める
実の祖父と戦うことに躊躇いはあるものの、バウルの戦意を感じ取り、腰にさした警棒に手をかけた
シルバー『セベク!!』
リリア『うるせぇぞ。テメーら』
セベク『シルバー..』
バウル『右大将、殿..』
バウルの後方から歩いてきた二人は、目の前の一触即発の光景に驚き、セベクとバウルの両者を凝視した
シルバー『レイラの叫び声がうっすら聞こえてきたと思ったら、その後すぐにお前が勢いよく飛び出して、何事かと見に来たが..何があったんだ?』
セベク『今すぐレイラを連れてここから離れろ!』
シルバー『レイラを?一体どういう..っ!!』
セベクの後ろで腕を押さえ、震えながら座り込んでいるレイラに気づく
押さえている手の隙間から滲み出る鮮血に、背中がゾッと冷える感覚が襲い、大慌てで駆け寄った
シルバー『その怪我はどうした!?セベク、何があった!?』
リリア『...』
その様子を横目で見ていたリリアは、驚きはしたもののすぐに表情を締めると、動揺するバウルの元へと近づいた
リリア『バウル、これはどういうことだ?』
バウル『私はただ..』
リリア『..2つだけ答えろ。レイラのあの怪我はお前がやったのか?』
バウル『..はい』
リリア『その前後にあいつから一度でも攻撃を受けたか?』
バウル『..いいえ』