第87章 *懐刀インパクト*
『(良かった..)ワニさん、聞いて。魔獣さんは私達が気になって見に来ただけ。私もさっき会ってビックリしたの』
バウル『信じられん。貴様は町での時も道中も、凶暴な魔獣をいとも簡単に手懐け、言うことを聞かせていた。本来、魔の山に住む魔獣たちは、気性が荒く妖精はおろか、人間にも心を許したりはしない』
『(魔獣さんじゃなくて、私を疑ってる..)それでも、あの魔獣さんたちには何もしてない』
バウル『何もしていない?貴様ら黒兎は、他者を操り使役する能力があるだろう!その力は人や妖精以外にも使えるのではないか。それで先程の魔獣を操った..そうだろう』
『そんなこと、な』
バウル『ないと言い切れるのか?なら何故、言葉の通じない貴様に魔獣たちは頭を垂れて平伏した?』
『それは....分か、んない』
レイラ自身にも言葉の通じない魔獣たちが、何故自分に従ってくれたのかはわからない。自分の想いを必死に伝えようとした結果、彼らがそれに応えてくれただけなのだ
だが、黒兎の魅了は無意識でも発動すると知っていたため、魔獣たちを操っていないとは断言できなかった
バウル『下手な嘘を』
『嘘じゃない、ほんとだもん。私だって、どうして気持ちが通じたか分かんない』
バウル『..何も知らない、分からない。無垢なふりをして、そうやって右大将殿のことも支配するつもりか』
『リィさんを..?支配って、なにそれ。そんなことしようと思ってない』
バウル『では何故、あの方は見ず知らずの貴様にあそこまで関わろうとする?』
『それも、分かんない。でもリィさんは..とても優しい人だから』
バウル『確かにあの方はお優しい。だがいかにも身元や目的も怪しく、会って数日の人間などを簡単に受け入れたり、気にかけたりはしない。
だというのに、貴様に出会ってからあの方は変わられてしまった!!』
ギリッと魔石器を掴む手が強まり、こちらを睨む眼光は更に鋭さを増す
バウル『貴様を気にかけ何かにつけて出向き、自然と目で追い、その身に触れるまでに至った。
今のあの方は貴様を常に求めているような目をする。あんな目は見たことがない。まるで、黒兎に操られ使役された者のようではないか』