第87章 *懐刀インパクト*
セベク『どこへ..行く?』
『ちょっとお外の空気吸ってくる』
すぐ戻るよ、とミストグリーンの淡い髪を撫で、静かに家から出て行った
家から出ると、外は薄暗くなっていて山の奥では夜鳥が鳴き始めていた。掃除したとはいえまだ少し埃っぽかった室内では落ち着かなかったため、新鮮な自然の空気が恋しくなったのだ
『んん〜っ..気持ちいい』
バウル『何をしている』
『ひゃっ!ワニさんか、ビックリした..』
振り返ると鋭い眼差しで背後に立つバウルと目が合い、思いの外の近さに驚いて飛び退く
バウル『(ワニ..?)何をしていると聞いている』
『えっと、ちょっとお外の空気、吸いたくて..』
バウル『...』
『な、なに..?』
バウル『..右大将殿がお休みになられたのを見計らって、鉄の者たちのところへ逃げて、ここの場所を教えるつもりではないのか?』
『ぇ...?なんで?そんなことしないよ』
バウル『..貴様ら人間共のことはまだ完全に信用していない。ふとした時に本性を表すのではと、わざと言ってみただけだ』
猜疑心に満ちた目がまるで鋭く身を刺すようにレイラを貫く。しかし、鉄の者たちに彼らを襲わせる気など全くもってないため、彼の質問がカマかけであってもその真意がよく分からなかった
『そっか..』
バウル『ふん。行きたいところがあるなら、さっさと行くがいい。私は見張り番に戻る』
『ぁ、ん..』
一方的に突き放されるように背を向けられ、レイラは特に出歩く予定はなかったものの、このままここに残るのも中に戻るのも何となく出来ず、暫く村を見て回ることにした