第87章 *懐刀インパクト*
『ここまでいっぱい歩いたね。町を見て、銀の人たちと戦って、みんなとお話して..すごく、すごく大変だったけど、楽しかった』
セベク『楽観的だな。この旅は遊びではないのだぞ』
シルバー『だがずっと怖がって怯えているよりいい。レイラは俺たちが思っているより強く、肝の据わったやつなんだな』
『二人がいてくれたから、ここまで着いて来られたんだと思う。二人に優しくされたり、厳しいこと言われたり、守られて、引っ張ってくれたおかげ』
ありがとう..甘く優しい声色で贈られた言葉が、ジワジワと体に染み渡る。レイラの側にいるだけで、心が安らぎフワフワとした温かいものに包まれる
その感覚に二人は自然と笑みがこぼれ、目の前で体を預けてくれるレイラが愛おしくて仕方なくなる
シルバー『感謝するのは俺達だ。元はといえば俺達ディアソムニア寮の問題で、お前たちを巻き込んでしまったのに..そのことに1度たりとも不満を言うことなく着いてきてくれた』
セベク『若様....あの方も、貴様の説得なら少しは耳を傾けてくださるだろうな』
『どうだろ..でも、また会った時はちゃんと止めるよ。だから、二人はその時に私を助けてほしいな。多分、一人じゃ難しいから』
シルバー『ああ、勿論だ』
セベク『元よりそのつもりだ。貴様だけに背負わせるわけがないだろう』
『ありがと』
心からの感謝を込めて、ほんの少しだけ黒兎の匂いを二人へと放って目を閉じた
『んぅ..?』
ふと目を覚まし身動ぐと、パサリと体にかかっていたあるものが落ちた。手に取るとディアソムニア寮の寮服の上着だった
『これ、シルバーさんの?』
隣で眠るシルバーを見ると、白シャツとネクタイ姿なっていて、先に眠ってしまった自分のために掛けてくれたのだと気づいた
反対側ではセベクも静かに眠りついていた。二人の普段大人びた顔つきではなく、幼い子供のような寝顔にクスッと笑うと、魔法で二人を浮かせて比較的綺麗な場所に横にさせた
『おやすみ』
セベク『ん..レイラ..?』
『ごめん、起こしちゃった?』
降ろされた僅かな振動で目を覚ましたセベクは、うっすら目を開け離れていこうとするレイラをぼおっと見つめた