第87章 *懐刀インパクト*
"なんだ、学校でいじめられて毎日罵声でも聞いてたか?
それとも家で父親と母親が喧嘩でもしてたのか?"
"っ..!!私に、お父さんとお母さんなんていない..っ!そんなのいらない!"
『ぁぅ..あの時は、ごめんなさい』
リリア『何でお前が謝ってんだよ。普通は"謝れ"ってこっちに言うだろ』
『だって、いきなり怒っちゃった。リィさんは悪くないのに..』
リリア『..お前、いらないやっかみを買うタイプだろ。自分は悪くねぇのにそんな簡単に謝ってたら、本当に悪者にされて傷つけられるぞ』
『...』
横目で睨まれ思わず口を閉ざしてしまう。気落ちしているのが分かりやすいほど、いつもピンと立てた耳がへにゃりと垂れ下がっていた
その様子にリリアはため息一つはいてまた頭をかいた
リリア『あーそうじゃなくて。俺が寧ろそのことを謝りに来た。
悪かった。気に障ることを言ったな』
『!!そんな..いいのに』
リリア『俺が納得しねぇ』
引きずられてちゃこっちが後味悪い、と少し照れ隠しのようにフイッと顔を反らした。だがこうして時間を作り、律儀に謝罪しに来てくれたことだけで、レイラは胸の奥が熱くなるようだった
『(優しい..)』
リリア『..言いたくないなら言うな。
お前、何があった?』
『...』
リリア『親のこともそうだが、前に黒兎という存在が嫌われてないかとか聞いてたよな。あれが俺の中で一番分からねぇ。信仰はされてても忌み嫌われるなんて、この数百年聞いたことがねぇぞ』
『...ん、いいよ。リィさんには、言っても』
事情を掻い摘んで簡単に説明し終えると、リリアは眉間にシワを深く刻みながら、考え込むように口を閉ざしていた
『だからね、黒兎は嫌われてないって聞いたとき、ビックリしたけどちょっと嬉しかった。ここの人(妖精)たちは、私を怖がったりしなくて、あったかくて優しい言葉をくれた』
街で魔獣退治した時の温かく歓迎された日のことを思い出し、ゆるりと小さく笑った
『優しくされたのが黒兎だからって理由なのは、ちょっと複雑だけどね』