第87章 *懐刀インパクト*
コトコト煮込まれた野菜たっぷりのスープが目の前に用意され、ふわりと香った匂いに近衛兵たちの腹も唸りを上げる
セベク『バウル様、お食事の用意ができました』
バウル『..貴様らの作った料理は好まん。私に構うな』
差し出した料理に首を横に振られ、セベクはしょぼんと悲しそうに眉を下げる。すると、既に手を付けもぐもぐと頬張るリリアは贅沢言うなとまた一口野菜を口にした
『せっかく雷さんたちが作ってくれたのに..あちっ..!』
ユウ『わっ、大変!お水飲んで!』
シルバー『大丈夫か?出来たてだからとても熱くなっているから、火傷には気をつけるんだ。少し遅かったな..』
『ぁぅぅ..』
少しヒリつく舌に涙目になりながら、ユウが持ってきた水を飲むと、ふぅふぅと冷ましながら少しずつ食べだした
リリア『兎のくせに"猫舌"とは..はっ、面白れぇこった』
『むぅ..』
バウル『...贅沢など..右大将殿が色々と無頓着すぎるのです』
リリア『ったく、育ちが良い奴ってのはこれだから..矜持で腹が膨れるかよ..はあ、マレノア様にも、食事に関して色々言われるんだよな。
あの時も、せっかく俺が用意した飯にケチつけてきて..』
シルバー『それはもしや..ヴァンルージュ殿が料理を振る舞われたのですか?』
リリア『は?俺が料理なんかするわけねえだろ』
『『えっ!?』』
リリア『なんだ、その驚きようは。そのままでも食えるもんに手間暇かけても意味ねぇだろうが。だがマレノア様ときたら、干した肉は硬いだのしょっぱいだの、文句ばかり言いやがる。
結局あの時は、レヴァーンのやつが鍋やらなんやらを召喚してスープを仕上げてくれたんだっけな』
どこか昔を懐かしむような目で、スープをくるくると手にもつスプーンで静かにかき回す
リリア『"やっぱりお前だけが頼りだよ"なんて、当てつけみたいにレヴァーンを褒めちぎって..ああいうとこで差をつけられたのかもな。食料を持参してたのは俺だってのに』
『ねぇ、お姫様が干し肉を食べなきゃいけないって.. 何かあったの?』