第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
……――生気の抜けたような顔
好きな人には幸せになってほしいと言っておきながら、私は幸せそうな鶴ちゃんを見るのが怖くて、ご飯の時間を皆と少しずらしていた。
それに普段からも出陣や遠征の時以外は、鶴ちゃんを視界に入れないようにしていた。
だから全然わからなかった。
鶴ちゃんが部屋に籠もりっきりだなんて…
彼の主でいられるだけで十分幸せ、とかどの口が言っていたんだろう。主のくせに刀剣の様子も知ろうともしないで…
和泉守さんが言っていた鶴ちゃんの様子が気になって仕方がない。あの想い人とうまくいっていないのだろうか…
かといってそんなこと誰にも聞けるはずもないし、あんな別れ方をした鶴ちゃんに会いに行ったところで、話す言葉も見つからない。
『後悔だけは済んじゃねーぞ』
…和泉守さんの言葉が何をしてても頭から離れなかった。
こんな事してても仕方がない。鶴ちゃんに会いに行って話をしよう、そう決心したのも束の間、蜂須賀さんが慌てた様子で執務室に入ってきた。
胸騒ぎがした。嫌な予感が脊髄を走る――