第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「鶴ちゃん…これは私が決断したことです。だから鶴ちゃんが責任を感じる必要はない…私も…ここを去るなんて考えられないから……受け入れるしかないんだと、そう思っています…だから大丈夫……ね…大丈夫だから…手だてがあるだけ良かったと思わなくちゃ……それに…私にとっての初めては鶴ちゃんだけ。鶴ちゃんが初めての相手で良かった」
「あんず…」
「そんな顔しないで…ごめっ、ごめんなさい…そもそも私が不甲斐ないばっかりに…こんな事態になった…っ相手の刀剣にも迷惑がっ」
これは私が霊力を保持出来なかったために引き起こした問題だ。鶴ちゃんは何も悪くないし、ましてや鶴ちゃんが責任を感じることなんて何一つない。
こんな事態を引き起こした私が悪いんだ。
なのに鶴ちゃんは私が他の刀剣と契を交わすことを嫌だとはっきり言ってくれた。何より私が居なくなるのは考えられないとまで言ってくれた。
例えそれがどんな理由であったとしても…
嬉しかった…今の私にはその言葉だけで充分だった。
大好きな鶴ちゃんの腕に抱き締められて、彼の優しさに触れる事ができて…鶴ちゃんがあの女の人のところに行ってしまうことになるとしても、審神者を辞めて現世に帰るよりはいい。
鶴ちゃんと、皆と二度と会えなくなるよりはいい。審神者を続けられる可能性に賭けたい、と本気でそう思った。
「あんず、薬を飲んでくれないか…今は相手の刀が誰かはわからないがそいつにも飲んでもらおう。勿論俺も飲むつもりだ。そうしたらこの件を知っている者はこんのすけだけになる。きみは何も背負う必要はない。苦しまなくていいんだ」