第1章 君の中に墜ちる
【#1 それは突然に…】
「あんず様、聞いておられますか?」
「聞いています…」
「念のためもう一度申しあげます…先日おこなった健康診断の結果ですが、あんず様の霊力が急激に弱まっている、との診断が出ました」
審神者に就任してから5年目の春のことだった。
ああ、ついにこの時が来てしまった。就任後からいつかはこの日がやってくると覚悟をしていたけど…むしろ丸4年も続けられたのだ…良い方なのかも知れない。
──私はもともと霊力が低い方だった。
霊力が底をつきそうになったら審神者を引退するか、そのまま霊力が尽きるまで、即ち命尽きる時まで審神者のまま生を全うするか、あるいは審神者になることを辞退するか、いずれかだ、と政府担当者から説明されていた。
審神者になれる程の霊力を持つ者は数少ない。例え私のようにギリギリの霊力だとしても。
今まで将来に何も見出せなかった私が、ギリギリとはいえその霊力を保持しているというのだ。
歴史を守るという大義名分に私という存在が少しでも役に立つ…例え命を投げ出すことになっても。
後悔はしない、大袈裟かも知れないが本気でそう思い、覚悟を決め辞退することなく審神者になった。