第22章 ☆憲吾ルート☆ Happy END前編
憲吾は宙の過去話を聞き終わっても
東郷響はどんな男なのか、まだ理解できそうになかった。
だが響にも誰かを救いたいという人間らしい情はあるのだと憲吾は思った。
「オレの話はこんなとこかな、
んで兄貴が親父を殺した理由だけど……正直真実はわからない。
ただ兄貴って冷酷っていうか……
生まれた頃から裏社会の人間として育てられてきたけど、
子供のうちは普通に学校とか行って、
勉強したり友達と遊びたかったりしたのかなって思う……。
それに、双子の最は普通に学校に行って普通の暮らしをしてる。
兄貴に兄ちゃんや母さんの記憶がなければ普通に裏社会の人間として育ってたと思う。
けど親父は2人の記憶を残したまま兄貴を育てた……。
兄貴からしたら、何でアイツは何も知らず普通に生きてるんだって思うかもしれない。
でも、兄ちゃんと母さん自身には何の罪もない。
悪いのは全部親父……」
「っ……殺したくなるほど、憎かったってことか?」
「……でなきゃ、殺す真似まではしないんじゃないかな。
親父が殺されたのは、偶然か必然かわからないけど
伊集院さんによればオレが川に溺れた翌日の出来事だったらしい……」
「っ……」
(もしかして、
アイツは父親に宙を助けるよう求めたが父親はそれを認めずやむなく殺した?
でも、殺すまでしなくても……いや、
アイツらの世界は完全なる裏社会だ。
こっちの常識が全部通じる世界じゃない……)
憲吾が響が父親を殺した理由を考えていると宙が再び話しはじめた。
「これはオレの推測だけどさ、親父がいる限り兄貴はあくまで親父の部下。
親父の命令は絶対だ……
兄貴が兄ちゃんの為にオレを助けるよう言ってくれたとしても
親父が首を縦に振らなきゃ実行はできない。
親父にとって、オレは何の繋がりもない子供だからね……
わざわざ助ける義理もない……」
「っ……やっぱり、アイツは……」
「憲吾くんも、同じ様なこと考えてるんだね……」
「っ……」
「兄貴は、親父に歯向かってでも兄ちゃんの為にオレを救うことを選んだ。
親父からしたら、たまったもんじゃないよね……
だから兄貴は自分に制裁が下る前に殺した。
……オレはそう考えてるよ……」
「っ……お前は、アイツのこと本当はどう思ってんだよ……」