第7章 トラ男とパン女の攻防戦
しまった、と何度目とも知れぬ後悔をする。
幾度となく同じことで反省しているのに、まったく学ぼうとはしないローは、やはり恋に溺れているのだろう。
ムギの甘い唇を貪りながら、ダメだと思いながらも彼女の身体を求めてしまう。
「ひぅ……!」
ムギの喉から小さな悲鳴が上がり、華奢な身体が強張った。
愛らしい唇を啄みながら悲鳴を吸い取って、名残惜しさを覚えながら口づけを終える。
唇を離してムギの顔を窺えば、頬を赤く染めた彼女の表情には怯えの色が混じっていた。
「……怖ェのか?」
昨日やりすぎてしまった自覚はあるし、なによりもムギは処女。
今だってローは最後までするつもりはなかったけれど、やはり昨日の今日では性急すぎただろうか。
ムギが一言「怖い」と漏らせば、素直に手を引いて勉強に戻るつもり。
そのつもりだったのに……。
「だ、だって、わたし、変でしょう……?」
「あ?」
怖いか怖くないかの二択を尋ねたはずなのに、ムギからはまるで要領を得ない回答が返ってきた。
「なにが変だって?」
「だから、その、昨日みたいに変になったら嫌なんです……。」
「わけがわからねェ。俺にもわかるように説明しろ。」
「……ッ」
ムギの頬がなおさら紅潮し、唇をきゅっと噛みしめた。
「言わねェなら、言いたくなるようにしてやろうか?」
「……ッ、結構です! だから、昨日はわたし、初めてのくせに気持ちよくなっちゃって変だったでしょ!? またああいうふうになるの、嫌だって言ってるんです!」
自棄になったムギが顔を真っ赤にさせながら叫ぶ。
が、吐露した内容はローの予想を遥かに上回っていて、思わず無言になった。
ローの沈黙をどう捉えたのか、胸の内を曝して自暴自棄になったムギはさらなる暴露をし始める。