君の声が聞きたくて 〜Your voice〜【気象系BL】
第23章 passionato…
鼻を噛み、丸めたティッシュをゴミ箱に投げ入れる。
上田は持参…した物だろうか、ペットボトルのキャップを捻ると、きつい炭酸のジュースを喉を鳴らして飲んだ。
そして半分程を飲み干すと、キャップを閉めてからテーブルの上に置いた。
「分かんないっすよ? 分かんないっすけど、もし俺だったら、どんな事情があったとしても、絶対会いに行きますけどね? 会って、自分の気持ちぶちまけてやりますけどね。俺、待つのも待たせんのも好きじゃないんで…」
確かに上田の性格なら、間違いなくそうしただろうな…。
でも俺は上田とは違う。
上田のようには、どうしたってなれない。
「もし…、もしも相手に新しい恋人がいたとしても…、か?」
俺の問いかけに、上田は静かに頷くと、再びペットボトルを手に取り、キャップを捻った…が、すぐにテーブルに戻した。
「俺、今の会社に世話になる前、けっこう無茶苦茶やってて…。お袋のことも泣かしたりもして…。次に何か悪さしたら、確実に少年院に送られるって寸前で、アイツに出会ったんですよね…」
「へぇ、そう…なんだ…?」
上田が相当なワルであったことは、赴任前に所長からも聞いていたし、驚きもしなかったが、彼女との出会いについては、これまで聞いたことがなかった。
「すげぇ気の強い女で…、最初は”なんだコイツ”と思ったんすけどね…。それが気が付いたら…」
「好きになってたんだ…?」
上田がコクリと頷く。
「で、俺こんな性格だから、好きだって認識した瞬間に告って…(笑)」
「返事は? すぐ貰えたの?」
「速攻でしたよ。”付き合えない”って」
「マジか…」
まあでも、彼女も上田に負けず劣らずハッキリした性格だから、それも頷ける話しか…
「でも俺諦めらんなくて…」
「どうしたの?」
「アイツと顔合わせる度に告ってましたよ。その度に振られましたけど」
そう言って、上田は自嘲気味に笑った。