ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
今日は8月3日、ユウコの誕生日まであと2日。この日も僕はクリスの部屋に行ってきた。
倉庫に着いて僕とディノは車を降りシャッターをくぐる。
「…ん?」
檻に駆け寄ると、ユウコはベッドで眠っていた。
「…疲れて眠ってしまったのか」
「疲れて…?」
「ああ、いや。ユウコ、起きなさい」
わざわざ眠っているところを起こさなくても…
『……んっ、』
ユウコは小さな声をあげ眠そうに目を擦った。そしてゆっくりと体を起こした。
「ユウコ、おいで」
『…あ…パパ、アスラン…?』
ベッドから降りるとユウコは柵の前にやって来た。僕が帰るといつも嬉しそうな笑顔を見せるユウコに少し切ない気持ちになる。
『おかえりなさい…!』
「ああ、ただいま。今日もお留守番が出来て偉かったね」
「ユウコ、1人にしてごめんね」
『…あ、うん』
「どうした、なにか変わったことがあったかい?」
そう言ってディノは、ユウコの首筋に指を滑らせた。するとビクッと体が跳ねる。
『……んッ!』
「ユウコ?ど、どうしたの?」
「…随分と時間が経っているというのにまだ効いているなんてあのハイエナども、日々量を増やしているのか…。全く素人が媚薬など余計なことをしくさりおって」
ディノはボソボソと何かを呟いている。
「ユウコ、体は大丈夫かい?」
『…ん、ちょっとあつい』
「もう少しすれば良くなるから辛抱するんだよ」
『うん…』
ユウコは柵の間から手を伸ばして、ディノの隣にいた僕の手をキュッと握った。ユウコの手は異様に温かかった。