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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

「さっきアッシュは、どっちが本当の俺なんだろうって言ったよね?その答えは…自分でも分からない。パパやその側近の求めることに応えたい、嫌われたくない、可愛いって思われたいっていう僕は本当の僕だし、こうしてアッシュと話してる俺だって嘘偽りない本当の俺だし。だから、どっちの僕も俺なんだ」

「うん…ごめん」

「いや…あぁでも実は、高い声がだんだん出にくくなってきてるんだ。顔はアッシュが見惚れるほど可愛くても、身体はちゃんと男だったろ?…俺、声変わりが始まってきてるのかも」

「声が低くなるってこと?」

「そう、大人の男の人って声が低いでしょ。俺多分もうすぐああなっちゃう。今が地声だけど、ちょっと掠れる時があるし…いつまで誤魔化せるか…。
アッシュもあと1年くらいしたら色々変わってくると思うよ!……きっと、格好良いんだろうな」


「えっ?」

「っ!あぁ、いや…なんでもない」

「うん…?」

「……はぁ…人とこんな話をするのは初めてだな!あれからここで何人か友達みたいな人は出来たけど、アッシュみたいに俺の話を聞いてくれる人なんていなかったし」

「そうなの?」

「そうだよ!…みんな俺のことを気持ち悪がって、結局嫌われちゃう。こういうのは慣れてんだけどね」

「…慣れてるって、そんな」

「まあ昔からだから、全然気にしてないよ」

全然気にしてないとか言いながら、傷ついた顔をしていることにクリスは気付いているのかな。

「…クリス、僕も時々自分が分からなくなって悩んじゃうことがあるんだ…だから僕はきみのことを気持ち悪いだなんて絶対に思わない。それにね、僕リアリストなんかじゃないんだよ。本当は自分を商品だなんて思ったこと一度もない。だって僕も、きみも…人間じゃないか」

彼と話していて思った。
自分を偽っているわけではないにしても、ディノに嫌われまいと必死になっているところはユウコと同じだ。彼を否定することはそのユウコの気持ちを否定するのと同義になってしまう。


「……っ」

「クリス?」

「…あっ…ありがとう…すごく嬉しいっ!…本当にこんなの、はじめてだよ」

クリスは目を丸くしたあと、顔を真っ赤にして俯いた。
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