ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「…どうしたんだクリス?」
「ッ…ローションがちょっと。…ねぇパパ?僕、自分で準備して待ってたんだ…まだシてくれないの?」
「全く、自分で触ってはいけないと言ったではないか…仕方のない子だ」
「だって…その方が、愛されてる時に気持ちいいんだもん」
「客の中にはこの可愛い顔を歪ませたいと思う輩もいると教えただろう?」
「お仕事の時はしてないよ、そういう人の前では…うわぁん!痛いよ、おじさん!僕のおしり壊れちゃう!って言って泣いてるよ?それに、僕をちゃんと愛してくれるのはパパだけだから…パパとのセックスだけ気持ち良ければ僕はそれでいいの……んっ」
クリスは自らディノに口付けて、舌を絡めた。
目の前でキスをしているのを見るのは、ユウコ以外で初めてかもしれない。なんだか見てはいけないような気がして目をそらす。しばらく部屋にくちゅっという水音が響き、耳を塞ぎたい気持ちになる。
「はぁ、ん…っパパぁ…」
クリスの高い声に思わず目をやると、彼の頭越しのディノと目が合う。
「っふ…クリス、アッシュが寂しそうにしているよ」
「んっ…ぁ…はぁ」
紅い顔をしたクリスが僕を見た。
そして、そろりとディノの隣から立ち上がって僕に近付いてくる。
「…っ、アッシュ…きみも混ざりたいの?」
「いっ、いや……んぅっ」
クリスが隣に座って腕を体に絡めてくる。避けようとしたけど、グイッと引っ張られて唇が重なった。
舌を吸われながら耳や首を指でするすると触れられて、体がゾクッと震える。
「…んはぁっ……ねえアッシュ、」
僕の膝の上に跨る形になったクリスは一度唇を離して、耳元で小さく僕の名前を呼んだ。
…な、に?
「…僕の舌に絡ませて興奮した振りをして」
「え…?」
「いいから、…早く終わらせよう?」
僕の耳元でチュッと音を立てると、ディノと僕を隔てる壁のように膝に座っていた彼が体制を崩してディノから見える位置を取った。
クリス、もしかして きみ…
僕には彼の意図することが少し伝わった気がした。
口内で逃げるようにしていた舌を絡める。すると、クリスは大袈裟に声を出した。