ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
「ほらシャツを羽織りなさい、クリス」
「はぁい」
そう間延びした返事をするクリスは、線が細くて顔立ちも本当に女の子みたいだった。
ユウコとはまた違う感じで…
袖に腕を通して、ボタンに触れた時チラッとこっちを見て口角を上げた。
「…そんなに見つめないでよ、照れちゃう」
「み、見つめてなんか…っ」
フッと余裕そうに笑って、クリスはお腹のあたりのボタンをひとつだけとめた。
「アッシュはいくつなの?」
「もうすぐで11歳だよ」
「そっか、そしたら僕の1個下だね!昨日ここに来たんだっけ、どこの部屋?きみはきっと個室でしょ?」
「クリス、アッシュはここではない別の場所にいるんだ」
「そうなの?どうして?」
「アッシュはペットを連れて私の元へやってきたからだよ。ここは一応高級料理店としての顔もあるからね、万が一粗相があったら困ってしまうだろう?」
「へぇ、ペットを連れてくるなんて珍しいね。いいなぁ!可愛い?」
「あぁ、とても素直で賢くて可愛い子だよ。…な、アッシュ」
「…ユウコはペットじゃないってば」
「ユウコっていうんだね、名前からして…メスかな?」
「違うんだよクリス…ユウコはペットなんかじゃなくて」
「ああ!わかってるよ、アッシュ。僕も犬を飼っていたんだ。彼らはペットじゃなくてバディだし家族だよね」
「そうじゃなくて!」
「アッシュ」
僕の否定の言葉に被せて、ディノはなにも言うなという鋭い目を向ける。それに対し困惑した顔を向けるクリスに、僕は下を向いた。
「え…なに?」
「ううん…なんでもない」
「そう?なんだかきみ変わってるね!
…………ぅあッ」
その時、突然クリスが変な声をあげた。