ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
すると扉のロックが解除される音がした。
「よし、終わってるな?…戻るぞ。」
私たちは立ち上がり、男に着いていく。
出入口には、私たちが乗ってきたものと同じような黒塗りの車が停まっていた。
「…おや?こんばんは。」
「こ、こんばんは…」
『こんばんは』
そこから降りてきたのは、見るからに高級そうなスーツに身を包んだ男だった。私たちを先導していた男は慌てたように前から退き、脇に控えた。
「素晴らしい…、ゴルツィネ氏はやはりお目が高いな」
『え?』
「あぁ、いや。失礼したね、ではまたの機会に。」
スーツの男はそのまま店に入って行った。
私たちは車に乗る。
『ゴルツィネ氏って…?』
「お前のご主人様の名前だろうが。ディノ・ゴルツィネ、よく覚えておけよ。」
「…さっきの人は?」
「まあ、お前はじきに会うことになるだろうな。」
「…あぁ、そういうことか…」
「フン…アッシュ、賢いじゃないか。」
あの人…
アスランがさっき言ってた客なのかな。
夜の港は水面が月の光に反射してとても綺麗だ。夜の空も景色も久しぶりだった。
キョロキョロと見回していると、倉庫が見えてくる。
アスランが言うように、自由になれるその日まで私も絶対に諦めない。
ふたりだから大丈夫。
その言葉が心を強く支えた。