ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
シャワーから出ると、来た時と同じ服装をしたディノがソファでタブレットを眺めていた。
眉にはシワが寄っていて何かを考えているようだった。僕はドアの前で立ち尽くす。するとこちらにパッと視線を向けた。
「…あぁ、戻っていたのか。もう少しゆっくりしていくつもりだったが、予定が変わった。戻ろう。」
「なにか、あったの?」
良くないことでもあったのかなと直感的に思った。
「そうだな…、汚いドブネズミに可愛い子猫が襲われそうになっていてね」
「…汚いドブネズミ?」
何を言っているのかさっぱりわからなかったけど、僕もこんなところにいるよりユウコのところに早く戻りたいし良かった。…さっきのディノとの会話が頭にチラついて、なんだか少しだけ気まずいけれど。
「さぁ、乗りなさい。」
背中を押され車に乗り込んだ。
電源がつきっぱなしになっていた座席のモニターをディノはピッとすぐに消した。
不思議な感じはしたけど、ずっと見られてるなんてユウコが可哀想だから僕はホッとした。
「アッシュ、そう言えばさっきもうすぐ11歳と言っていたが誕生日はいつなんだ?」
「8月12日」
「ユウコの誕生日は?」
「…8月5日」
「そうか…あと1週間で11歳か。」
顎に手を当ててディノはそう言った。
「ちなみに聞くが…、ユウコに生理はもうあるかい?」
「せいりは、ある?」
「…アッシュとユウコはある程度共に生活をしてきたと思うが、血が止まらないとユウコから聞いたことはあるか?」
「えっ…血が止まらないなんてことがあるの?」
「ということはまだなんだな…」
「なにが?」
「いいや、なんでもないよ。ああ、私の勘違いだったようだ。」
何と勘違いしたら、血が止まらないだなんて言い出すんだろう。僕は窓の外に目を向けて流れる景色を見て考えた。
すると倉庫が見えてきた。