ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
エサ、という割にそれは豪華だった。
僕たちが今まで与えられていた食事はパンとスープだけだったから、というのもあるけれどそれを抜きにしてもサラダやチキンまでついていた。
僕たちが食べている間、男たちは少し離れた椅子に座ってこちらの様子を伺っていた。
前の食事量でも残していたユウコにはやはり多かったようだ。それでも頑張って口に含んでは辛そうに飲み込んでいる。…ふと目が合った。
『アスラン…まだ食べられる?』
正直、僕も結構お腹いっぱいだけど…
「うん、ちょっとなら。」
器を渡されて僕はサラダを口に含んだ。
「あっ!!!」
慌てたようにこちらを見ていた1人の男が立ち上がった。目を向けると男たちはソワソワと何かを話しはじめた。
「…どうする。」
「まあ、でも別にパパを喜ばすだけだろ?」
「それもそうだな。…ああ、なんでもねえよ!」
そう言って、早く食べろと促してきた。
ユウコのサラダのドレッシングは僕のより少し甘い味がした。スープも、ちょっと違うような…。ユウコを見ると、味のことについては何も言わなかったから僕の気のせいかもしれない。
残りを食べ終えると、男はまた小さな枠を開け食器を持って出ていった。
それから30分くらい経った頃、外が騒がしくなった。ベッドに腰掛けていた僕たちは、シャッターに目を向ける。
すると、ガラガラとシャッターが開いて僕たちをここに連れてきた男の人がまた顔を出した。カツカツと革靴を鳴らして近付いてくる。
ギッとベッドが音を立てたかと思うと、ユウコが勢いよく立ち上がり縦格子の前に走っていった。
『…パパっ!』
柵を両手でギュッと掴み男の人を見上げる。
その光景は違和感でしかなかった。
「おぉ…ユウコ、偉いね。いい子だ。」
にっこり笑って頭を撫でられる姿は、本当のペットのようだった。
「アッシュはお出迎えしてくれないのかい?」
僕に向けられた目はとても鋭くて、ナイフを突きつけられたような感覚になった。
「……アッシュ?」
先程よりも低い声で名前を呼ばれ、反射的に立ち上がりユウコの隣へ並んだ。すると満足そうに微笑んで頭を撫でられる。恐怖に体が震えてしまう。