第2章 桜の前
中也が事のあらましを説明すれば、それはもう同棲するのと変わらないね確かに、と納得されてしまったため、そういうことなのだろう。
…まあ、本人が納得しているのならば別にそれでいいのだけれども。
『……一人になれる空間、いらないの?ストレス溜まるでしょ、こんなのとずっと一緒なんて』
「俺みたいなのは大抵誰と一緒にいたってストレス溜まるんだよ。変なこと気にしてないでとっとと引越し作業手伝わされる覚悟でも決めとけお前は」
『じゃあせめて引っ越し代くらい私に持たせて』
「なんでそうなるんだよこの学生は。んなところまで気ぃ回すな馬鹿が、しばくぞ」
『はぁ?なんで私が馬鹿呼ばわりされなきゃなのよ、馬鹿はそっちでしょ馬鹿は。私に雇われてんのに物申すつもりなのかしらこの犬は、ねえ??』
「手前からの金なんざいらねえんだよこちとら、必要ねぇわ。幹部なめんなこのド新人が。幹部命令だ幹部命令」
顔を向き合わせてしかめっ面を浮かべる。
メンチを切るだとかガン飛ばすだとかいうあれに見えているのだろうか。
いや、しかしここまでされておいて黙って甘えておくほど私だって大人しくはない。
『何よ幹部命令幹部命令って、引越しなんてもうプライベートの域でしょ!私の部屋に住みつくってんなら私に払う権利はあるはずよ、私に!』
「だぁから、こちとらわざわざ手前んとこに住まわせていただく身なんだよ!いいから大人しく大人に花持たせろっつってんのが分からねえのか!?あぁ!?」
『何、じゃあお花屋さんで何か買ってきてあげましょうか花束でも!』
「そういう意味じゃねえだろ、ものの例えだものの例え!!」
「ああはいはい、君たち一回落ち着いて」
静粛に、とでも言われた気分だ。
首領に止められ、そこから始まる事情聴取。
「はい、まずはリアちゃんから。なんでそんなに払いたがっちゃってるの?いいんだよ?中也君が勝手に独断で決めて突っ走ってるだけなんだから、君が気にすることは何もない」
『何も気になんてしてません。単に一方的にそういうのを持たれると家主としてのプライドが許せないだけです、はい』
「なんだよそのプライド。へし折ってやろうか」
そして次に中也へと振られる質問。
睨み返したのはスルーされた。
「ええ、と…じゃあ、中也君?…どうしてそこまで全部持ちたがるの?折半さえしなさそうじゃないの」
