第2章 桜の前
____分かった…、もう、分かったから。
そんな表情をしないでくれ。
俺が男だから、お前にそういう表情をさせてしまうのか?
お願いだ、これからは俺が護るから…絶対、そんな輩にお前を連れてなんか行かせないから…____
いっぱい聴こえる、その人の声。
それと一緒に、少し力強く抱きしめられて…少し震えた声で、紡がれていく。
「…か弱い乙女が…なんで俺の攻撃軽々避けれんだよ。お前実は相当出来る奴だろ」
『だって貴方は、私が攻撃避けても何も報復とかしない人じゃない』
「はっ、言ってやがれ…次から書類仕事でも雑務でも押し付けてやるわ」
『…貴方はそれから私が逃げても、怒るだけで許してくれるでしょう?』
全部、分かる。
聴こえてる。
「……俺がシークレットサービスになったからには…何が怖くなっても、そんな奴らに着いてくなよ。…俺が全員、まとめてぶっ飛ばしてやっからよ」
『ふふ、暴力で解決しちゃうところが脳筋よね』
「うっせぇな…守れよ、約束しろ、今ここで」
『どうしよ、もし私がそれ破っちゃったら??』
「そん時はお前の恥ずかしい格好でも拝みにそいつら殺しに行くから覚悟しとけや」
契約、破棄するんじゃあないのね。
なんだ…私の事、呆れて置いていったりしないんだ。
血の繋がった人達からも見捨てられたような、こんな奴のこと。
トン、トン、と背中を軽く叩かれて、それが心地いいからなのかなんなのか、これもまた珍しいことに眠気を誘発され始める。
『……変な、人。…今更、裸見られたって慣れてる…のに』
「俺をそんな奴らと一緒にすんな馬鹿野郎…嫌なら、嫌って言っていい。怖いなら怖いって言ったっていい…やめて欲しいなら、やめてくれって言ってくれていい。お前は……、…怖がりすぎて、あまりにも全てを諦めすぎてる。少なくとも俺は…お前の声を絶対、無視しない」
お前の気持ちを…お前の心を、蔑ろにさせない。
お前の思いを踏みにじったりしない。
誓うように、伝えられる。
聴こえるって知ってるはずなのに、声にして、伝えてくれる。
『ほんとう…?…信じちゃうわよ、私単純な子供だから』
「いいよ、信じちまえば。俺が絶対、お前をがっかりなんかさせねぇから」
『……じゃあ、期待…してみようかな』
ふふ、と笑ったフリをした。
本当は、泣きたくなるくらいに…嬉しかったんだ。
