第2章 桜の前
『本家にいるうちは勿論、それまでの隔離生活とはまた打って変わった監禁生活送ってたし…まあ一番酷かったのは学校よね。転校した先にまで噂がついてまわってきたくらいだから』
「それで…家族は、慕ってるそいつだけだって?」
『散歩先で私の事たまたま見つけたらしくて、そのままそこで惚れた腫れただの言われて家まで連れてかれたの。まあ、元々先祖返りのコミュニティで私の事探してたみたいで…固まって、助け合おうって』
見つけたら、何やら私の外見が好みだったらしい。
その思い自体は未だに本物のようなのだが、私には恋愛の感覚というものもよくわからないためにそういう気持ちはまともに受け取ってはいない。
私には、そういう愛は返せない。
『だから、男と二人きりになって“そういうこと”をされるのにも、男の人が同じ布団で寝るのにも、正直私にとってはどうでもいいことなの』
「…お前、好きなやついねぇの。あんだけ籍入れたがってた相手は…?」
『私が誰かに恋愛感情なんて抱けると思う??』
「………ヴァージンじゃないから、誰に抱かれてもいいってのかよ」
『少し語弊はあるけどそういうことね。よくある事だし、特にもう失うものもないって思えば…後は終わるのを待ってる方が、痛いことされなくて済むからさ』
相手を満足させさえすれば、後は使い捨てのように捨てられるだけだから。
そう分かっているから、諦めがつく。
明確に相手の思惑も思考も読めるからこそ、抱かれたところで終わりも分かる。
それならば、他に余計な感情を抱く方がよっぽど私を苦しめるだけだ…そんなもの、消してしまった方がいい。
『…変な話したわね、ごめんなさい。貴方が護ろうとしてるのはそんな奴よ…軽蔑したんなら、いつでも契約解消してくれて構わないから』
「……嫌だって、思ったことはなかったのか」
『不思議なこと聞くのね。嫌だなんて…思ったところで叶わないようなもの、持ち合わせてたって辛くなるだけでしょう?』
胸を貫かれたのをぐ、と噛み締めるような表情をされる。
大概この人もお人好しね、こんな奴に心を痛めてくれるだなんて。
『私の中で、他人の男の人ってそういう存在なの。分かってくれる??』
「…も、し…そういう目的で声かけられたとしたら…お前は、ついて行っちまうのかよ」
『暴力振るわれる方が嫌じゃない?…私、か弱い乙女だから』
