第4章 培われしは藍晶石の光輝
「ひとつ言うならリアちゃん、森さんはそういう人だよ。知っているとは思うけれど」
『…私は表舞台に経つような人間じゃないですから』
「結構振られてるよねぇ私?探偵社は悪くないと思うんだけどなぁ」
『世間体が悪すぎますよ』
世間話をするので精一杯だ。
目を合わせたら、逸らしてしまいそう。
本音じゃなかったというのも、不本意だったというのも分かったけれど。
普通に接するには少し、時間が早すぎる。
「世間体?なんのために偽造工作ってあると思う?」
『そういうことばっかするからろくな大人にならないんですって』
「あっ、そこ突いちゃうか」
参ったなぁ、と笑う太宰さん。
これもいつもの事。
私の虚勢を許してくれる。
ふと、頭に手を置かれてグリグリと撫でられた。
『…痛いんですけど』
「いやぁ、阿呆だなって思ったらつい。無茶しすぎなんだってば、馬鹿でしょほんと」
『そんなに馬鹿馬鹿言うなら、太宰さんが何とかしてくれればい…っ、……何』
ふ、と微笑まれるその顔に弱い。
私とこの人との間には、名前にできるような関係性は無いけれど、それでもただの友人と言うには寂しいような信頼がある。
「ううん。今日も綺麗だよ、リアちゃん」
『……あっそ』
ぽふん、と変化する。
…綺麗って言うの、ずるいのに。
私こんなに穢れてるのに、いつもいつもそうやって。
「うんうん、今度は可愛くなっちゃった。ちなみにご飯は?ちゃんと食べた?」
『……忘れた』
「食べてないんだね、よし分かった。…リアちゃん、デートしよっか?♡」
『デートならお断りよ。私彼氏さんいるから』
ちぇ、と不貞腐れる太宰さんだけれど、一方私の彼氏さんはどこかようやく落ち着いたらしい。
不安がぬぐえてないのがこちらにまでずっと伝わっていたから、多分口にしないと、安心してもらえない。
ただ、向き合うにはもう少しだけ時間が欲しいだけで。
『一緒にご飯食べたいだけならいいけれど?ただし太宰さんの奢りね』
「ふむ、まあ女子高生に奢らせるなんてことはさすがの私もしないけどね。…よし、じゃあ一緒にご飯食べに行こうか!何が食べたい?」
『旦那さんの手作り料理なら食べたげる』
「…だってさ」
「……太宰の奢りって話はどうなったんだよ」
『間食用よ』
「ブラックホールだなほんと……待ってろ、すぐ作る」
