第4章 培われしは藍晶石の光輝
「君、もしもこれでリアちゃんが許してくれなかったらどうしてたつもりなのさ」
「…手放す覚悟じゃねえとしてねえよ、こんなこと」
『…手放すつもりでしたの……なんで』
「お前が他の誰かに殺されんのなんかまっぴらごめんだからだ…俺はそんな自分のエゴで、自分でお前を傷付けた」
死ぬよりマシだというのは、ただの第三者視点での価値観に過ぎない。
彼女からしたら、もしかしたら嬲られ、殺される方がマシだったかもしれない。
…俺が、なんでこんなことしたいだなんて思うんだよ。
けど、手が出せないんだお前には…そうなったら、お前よりも口達者でない俺にはこうすることしか出来ないだろう?
未だに腕の中で震える彼女を…ろくに強く抱きしめてやれない。
やべ、なんでビビってんだ俺…怖いのはこいつの方なのに。
『………手放したら、…貴方の大事にしてるもの、全部私が壊すから』
「…というと?」
『私以外に貴方に関わる人…貴方と関われる人、全員私が殺す』
ああ、クソ…男前だなぁ、本当に。
「いいよ。…それで、いい…ありがとう」
何度も、掠れた声で、縋るように…許しを乞うように。
とっくに許してくれてしまったそいつに、誓う。
ありがとう、ありがとう…ごめん。
「……俺が倒れてる未来って?」
『…汚濁、使ってた』
「なんだ、んな事か。…いいよ、くたばってなんかやらねえから」
『私は嫌』
「…太宰よォ、……使うことがあれば、だ。…頼めるか」
「……まあ、君を殺してしまうと本当にこの子がどうなってしまうか分からないからね」
仕方なくだよ、と言う太宰だけれど、こいつがいるのならば…リアは安心だ。
太宰は、酷いことはしないから。
こいつには酷いこと、できないから。
『…仕返し』
「みぞおち、…ッ!!!」
想像以上に強いのが入った。
たまらず蹲るが、太宰の野郎にはケラケラと馬鹿にされる。
こいつ、結構力入んだな…なんなら太宰の野郎くらいになら……いや、待てよこのマフィア脳、落ち着け俺。
強い奴に気分が高揚するのも相変わらずだ。
しかし、そこから移動して太宰の元へ行き、顔を見合わせる彼女に、思わず距離を感じてしまった。
自分で蒔いた種以前の問題だ…思えば、前にもあった、こんなこと。
『約束ね』
「仰せのままに♡」
よっぽど、似合いの二人なんじゃないか、なんて…
