第4章 培われしは藍晶石の光輝
『立原君のその素直なところは美点と言えるわね。どっかの誰かさんは恥ずかしがってばっかりだし』
「そうか?俺より多分そのどっかの誰かさんの方が、よっぽど可愛がってると思うけど?」
わなわなとこちらを振り向きそうにない中也は今、どんな顔をしているのだろう。
手元に置いてりゃ自分のものだなんて安心しない事ね。
私は縛り付けてくれるくらいの人じゃないと満足なんてできないんだから。
『……そうだといいんだけど』
「…どうしたんだよ、何がそんなに不安?どっかの誰かさんに対して」
『別に。私がいない方がやっぱり楽なんじゃないかなぁって考えちゃうだけ』
「例えば?」
『……行くのに抵抗ある学校の学費なんか負担しちゃうし。男の人苦手なのにパートナーになるし、交際迫るし…私の感覚が世間と少しズレてるから迷惑かけてるのに、怒るどころか自分のせいだって謝ってくるんだもの』
「そうか。拗らせてんなぁお前…どっかの誰かさんのこと大好きじゃん?」
そうよ、知らなかった?と聞き返せば、初めて知ったと驚かれた。
いや、微笑まれた。
初対面の頃の印章からはかけ離れていたのか、最早国単位で保護対象ともなる先祖返りと判明して、立原君からの私の評価はかなり変わってしまったらしい。
『勉強自体は好きなんだけどね……制服着たら、息が詰まるの。あの場所に行ったら吐きそうになる…でも私についてまわるのは“青鬼院家の養女”っていうタグなの。だからどうしてでも行かなくちゃって……なるん、だけど』
「そんなにもしんどい場所に通い続けるメリットあるか?いっその事、高卒認定試験でも受けちまえばいいじゃねえか、卒業したいだけだったら」
『……なにそれ』
「お前、頭はどんくらいのレベル?」
『一応青城の学年一位…高校生の範囲の勉強くらいだったら全部マスターしてるから』
「流石は先祖返り様だな。それなら飛び級しちまえば?じゃないと時間がもったいない」
飛び級。
そんな手があったか…いや、実家にいたから分からなかった。
そうか、確かに、既に会得した勉学をダラダラと続けるくらいなら…飛び出してしまった方がよっぽど有意義だ。
『……ちょっと、考えてみる』
青鬼院の養女でなく、ただの私として…下手な噂の出回っていない環境に手が届くのなら。
「どっかの誰かさんは一応賛成しときますね」
『!!』
