第4章 培われしは藍晶石の光輝
谷崎さん、中島さんの予想外の速さ、瞬発力で動くアンによって、すぐに二対一という形成は逆転し、先に谷崎さん、続いて中島さんがこの部屋の奥…緑の扉の中に囚われる。
その扉の中にはこれまでに捕らえてきた人もいるらしい。
そして私の目的はその中だ…その中に一人、手を出してはいけない人が囚われているから。
「はい終了〜っ、次は貴女の番でしたっけ?退屈させないでね〜」
『ひとつだけ質問…妖館に手ぇ出したのは、誰からの命令?』
「…作戦参謀からよ。捕らえていれば、絶対に貴女は釣れるだろうからってね」
『そ。覚えておくわ…人の身内には手、出さないようにって遅めの忠告しといてあげる』
殺意を、感じ取らせない。
ただ当てつけるだけの殺意など、誰にだって真似できる。
私は化かすのが得意なのだから。
「まさか本当にあたりの人がいただなん…?…貴女、異能力者じゃあないんじゃ……え、?…ちょっと!?」
ようやく、異変に気が付いたらしい。
『どうしたの、そんなに驚いて…私を敵に回すってこういうことよ。知らなかった?』
分身が、ねずみ算式に増えていく。
二人になり、四人になり…増殖した自身の分身は、千を超えた。
「う、そ…な、何よこれ……あなた一体…ッ」
『ゲームスタート……の前に降参かしら?』
一斉に、“アン”に向けてトドメを刺す。
それから本人に向けて刀を突き立て、選ばせる。
『はい終了〜っ……で、どうする?このまま遺体になるか…それか全員解放するか』
解放するなら…多分、貴方のことは武装探偵社の物好きさんが保護してくれるわ。
貴方は独りぼっちにはならない。
全てを読んだ上で、決断を迫る。
彼女の葛藤するものが何か、私には少し理解ができた。
「う、そよ…そんなの、どの道…」
『嘘じゃないわ…少なくとも、ここから先貴女が私達に手出ししないって言うなら。………私は貴女とお友達になれるしね?』
「!!!…私は貴女を捕らえようとしたのよ」
『慣れてるわよそんなの。それに大丈夫、私に比べれば貴女は普通に女の子だから。…どう?悪い話じゃないでしょ、私なら貴女を組合の人間から護れるだけの力もある』
なんなら、このまま妖館に連れて行って匿ってあげてもいい。
そこまで言えば、流石に彼女の方が折れた。
「…もの好きね」
解除された部屋の異能。
人質も解放されていた。
