第4章 培われしは藍晶石の光輝
マフィアの拠点に到着したのは、午前六時よりも前のこと。
どうしてこんな時間に出社するかというと、今日何が起こるかを予見したうちのお嬢様による作戦のためである。
普段は高確率で共に任務にあたる俺達だが、今日ばかりはリアは首領に直接ついて回るらしく、俺と別行動をとるらしい。
「おはようございます、首領」
『おはようございます』
「うむ、おはよう二人共…はいいけど、リアちゃん大丈夫?今日やっぱりやめとく?僕と一緒に来るの」
『行きます』
「なんだか悪いことをしてる気分になっちゃうんだけど」
そんなにも中也君にくっ付いてるの、引き離すなんて。
付け加えられたような気がした。
いや、恐らく心の中で付け足されてる。
『なんのための私なんですか…作戦のためじゃなきゃこんな時間に学生が出勤とかしません』
「それは確かにそうだねぇ。確かそろそろなんだろう?連中が仕掛けてくるのは」
『そのはずですよ。ただ、引っかかったフリをしてやったほうがこちらの労力が格段に減りますから…とりあえず考えられるだけの“餌”の行動ルートをこれから全行動隊に伝えます』
三本のルートまでは絞られた。
そしてその全ルートに、組合の構成員は構えている。
要するに、構えさせるだけ構えさせておいて全員殺ってしまった方が、あちらの人員を最も削れて戦力を減らせる手立てなのだ。
下手に先手を取ってしまうと、異能力者一人を殺るだけで終わってしまう。
こんな好機、逃す手はない。
「悪い顔をする…やはり君をスカウトしたのは正解らしい」
『勘違いしないでください、私は自分の恩を返したいのと…あとは私情です』
「…君の恩を返したいというその人を護れなかったのは、申し訳ないのだけれどね」
『大丈夫ですよ、首領のした事なら分かってます……そうしたかった理由まで、ちゃんと』
かなわないなぁ、と苦笑する首領。
誰のことを指しているのかは、俺にはまだ分からなかった。
しかしこの少女がこの組織に所属する理由が中々に複雑そうであることは確かなようで、聞くのは踏み留まろうと決意したのだ。
『後は、会いたかったから』
「会えたねぇ、ちゃんと」
「?お前マフィアに知り合いいたのかよ?」
『……中也さんの馬鹿。今日作戦終わるまで口きかない』
ぷい、と拗ねてしまう少女。
いや可愛いんだけど…じゃなくてだな。
